本日の緊急手術は...
臍ヘルニア嵌頓(簡単に言うと,ヘソに腸が飛び出てきて,腸が締め付けられて腸が腐る...見た目はデベソみたいな感じ)。
以前から臍ヘルニアがあり,手術適応がありましたが,タバコ吸い過ぎの結果...肺気腫の末期で呼吸機能が悪すぎて手術を見合わせていた人。
胸部大動脈瘤もあって,それも同じ理由で手術を見合わせていた。
それが,腸管がハマり込んで,緊急手術をせざるを得なくなって...
さて,麻酔法はどうしよう。
通常通り挿管(息をする通り道の気管というところに息をするための管を入れること)して人工呼吸管理をすると,抜管(入れた管を抜くこと)できない可能性大!(⇒長期化すると,気管切開することに)。
そこで,『脊髄くも膜下麻酔(=腰椎麻酔=下半身麻酔)+硬膜外麻酔(下部胸椎)』を計画。
呼吸は⇒日常通り,自分で息をしてもらいます。
『硬膜外麻酔』だけでも良かったのですが,広範囲腸切除になったら硬膜外麻酔では限界もあるので,念のため下半身麻酔を併用。
術前リスクは,重症肺気腫・胸部大動脈瘤・脳梗塞・高血圧・糖尿病・高齢・肥満e.t.c.
肥満っていうのも,手技的にちょっと難しくなるんですよねぇ。
結果:脊髄くも膜下麻酔も硬膜外麻酔もスムーズで,手術も問題なく終了しました。
しかし術中も痰がすごくて,誤嚥/窒息しないか心配でしたが,なんとか大丈夫でした。
...とまぁ,こんな感じで,麻酔科医も考えながらいろいろやっています。
今働いている場所は高齢者が多い地区で,リスクが高い人が多く,できる限り体に負担のかからない麻酔をしています。
いわゆるオーダーメード麻酔です。
術式が同じだから同じ麻酔方法でするってのは良くないですよね。
それぞれの患者さんに合った麻酔をするよう心掛けています。
麻酔科医...裏方で働くプロの職人(!?)という感じでこれからも頑張ります!
posted by マサネスト at 10:49|
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